記事: 足元の印象を左右する、革靴の「靴紐の結び方」
足元の印象を左右する、革靴の「靴紐の結び方」
卒業式や入学式といった特別な日は、普段履き慣れていない革靴を履く機会が増えます。しかし、慣れない靴は歩き方や姿勢に影響を与え、場合によっては「履き慣れていない」ことが一目で伝わってしまうことも。そこで重要なのが、革靴のシューレース(靴紐)の結び方です。
実は、革靴の紐の結び方にはフォーマル・カジュアルの違いがあり、正しく結ぶことで洗練された印象を与えることができます。たとえば、冠婚葬祭や式典などのフォーマルな場では「シングル」や「パラレル」が基本。紐が靴の羽根部分に対して水平に通るため、シンプルで端正な印象を演出します。
一方で、もう少しカジュアルなシーンでは「クロス(交差結び)」が適しており、動きやすさと程よいラフさを兼ね備えています。
たとえ1年に1度しか履かない革靴だとしても、たったひと手間の違いで、足元の印象は大きく変わります。特別な日に自信を持って歩くために、革靴の紐の結び方にもこだわりを持ってみませんか?
ここでは、「シングル」「パラレル」「オーバーラップ」「アンダーラップ」の4つのシューレースの結び方と、それに見合うシューズを具体的に紹介します。ご自身でお持ちの革靴と照らし合わせ、参考にしてみてください。
代表的な靴のタイプとおすすめの結び方とは
内羽根ストレートチップ
もっともフォーマルな革靴に最適。結婚式やビジネスの場でも上品に見せられる。
→「シングル」または「パラレル」
内羽根プレーントゥ
無駄のないデザインと組み合わせると、よりエレガントな印象に。
→「シングル」
ホールカット
エレガントなデザインにぴったりで、ドレッシーな印象を強調。
→「パラレル」
外羽根ストレートチップ
ビジネスからフォーマルまで対応。※結び方事例の「シングル」と「パラレル」の紹介で使用しているタイプ
→「シングル」または「パラレル」。少しカジュアルに見せたいなら「オーバーラップ」
外羽根プレーントゥ
ビジネスカジュアルからセミフォーマルまで幅広く対応。※結び方事例の「オーバーラップ」と「アンダーラップ」の紹介で使用しているタイプ
→「オーバーラップ」
ウィングチップ(フルブローグ)
デザイン性のある靴との相性が良く、軽快な印象に。
→「シングル」または「パラレル」。少しカジュアルに見せたいなら「オーバーラップ」
ダービー
外羽根式の代表的なデザイン。カジュアル寄りのスタイルに最適。
→「オーバーラップ」
内羽根セミブローグ
シンプルながら、さりげない装飾のあるデザインと相性◎。
→「シングル」または「パラレル」
結び方事例紹介
シングルの結び方

革靴初心者に最も手軽な結び方である「シングル」は、靴紐がアッパー(靴の表面)にほとんど見えず、すっきりとした印象を与えます。片側の穴を内側から通していく方法で、見た目のスマートさに加え、締めやすく緩みにくいという実用性も兼ね備えています。シンプルで洗練された印象を求めるなら、この結び方がおすすめです。

(写真は全て右足)紐の左端を右最前列の穴に上から通し、左最後列の穴の下から出す。このとき、最終的な紐が左右均等になるように、最前列側の紐を長めに出しておく。

紐の右端を左最前列の穴の上から通し、右2番目の穴の下から出す。

紐の右端を左2番目の穴の上から通し、右3番目の穴の下から出す。

紐右端を左3番目の穴の上から通した後、右4番目(最後列)の穴の下から出す。

左足はこれと対象になるように紐を通す。左右の紐の長さを整え、結べば完成。
「シングル」の特徴まとめ
- 靴紐が最小限しか見えない、ミニマルで上品な結び方。
- 靴の羽根部分が均等に締まり、すっきりとした見た目になる。
- 紐を片側の穴から内側へ通すため、着脱がスムーズ。
- 緩みにくく、型崩れしにくい。
パラレルの結び方

「パラレル」は、靴紐が羽根部分に対して水平に揃うように通す結び方で、最もフォーマルなスタイルとされています。紐が均等に整うため、美しくエレガントな印象を与え、革靴をより上品に見せる効果があります。特に内羽根式のストレートチップやプレーントゥといった格式の高い靴に最適です。

(写真は全て右足)紐の左端を右最前列の穴に上から通し、左2番目の穴の下から出す。

紐の右端を左最前列の穴に上から通し、さらに右3番目の下から出す。

左の紐を右2番目の穴に上から通した後、さらに左4番目(最後列)の下から出す。

右の紐を左3番目の穴に上から通し、右4番目(最後列)の穴の下から出す。

左足はこれと対象になるように紐を通す。左右の紐の長さを整え、結べば完成。
「パラレル」の特徴まとめ
- 靴紐が羽根部分に対して完全に水平に並ぶ、端正な結び方。
- 靴の締め具合が均等になり、履き心地が快適。
- 最もフォーマルな印象を与える結び方。
- 見た目が整い、品格のある足元を演出できる。
オーバーラップの結び方

オーバーラップは、紐を上から交差させる結び方で、靴紐がしっかりと締まりやすく、ホールド感が強いのが特徴です。この方法は特に外羽根式の革靴に適しており、カジュアルさと安定感を両立します。動きやすく、靴のフィット感を重視したいときにおすすめです。

(写真は全て右足)紐の右端を右最前列、左端を左最前列の穴の上から通す。

紐の左端を右2番目の穴に上から通す。次に紐の右端を左2番目の穴に上から通す。

最後列の穴に向けて、左右の紐を交互に上から通していく。

紐の左端を右最後列の穴に下から出し、紐の右端を左最後列の穴に同じく下から出す。

左足はこれと対象になるように紐を通す。左右の紐の長さを整え、結べば完成。
「オーバーラップ」の特徴まとめ
- 紐を上から交差させて通すため、しっかりと締まる。
- 靴のホールド感が強く、長時間歩いてもズレにくい。
- ややカジュアルな印象があり、リラックスした雰囲気を演出。
- 外羽根式の靴に適しており、ビジネスカジュアルでも活躍。
アンダーラップの結び方

アンダーラップは、紐を下から交差させる方法で、見た目がスムーズで整った印象になります。外羽根式の革靴に適しており、オーバーラップに比べ、締め付けが少し緩めになるため、リラックス感のある履き心地が特徴です。

(写真は全て右足)紐の右端を右最前列、左端を左最前列の穴の下から通す。

紐の左端を右2番目の穴に下から通す。次に紐の右端を左2番目の穴に下から通す。

最後列の穴に向けて、左右の紐を交互に下から通していく。
紐の左端を右最後列の穴に下から出し、紐の右端を左最後列の穴に同じく下から出す。

左足はこれと対象になるように紐を通す。左右の紐の長さを整え、結べば完成。
「アンダーラップ」の特徴まとめ
- 紐を下から交差させるため、見た目がスムーズで美しい。
- 靴の羽根部分が均一に締まる。
- カジュアルな印象で外羽根タイプの革靴と相性がよい。
- オーバーラップに比べて締め付けが少なく、やや柔らかい履き心地。