スーツスタイルを格上げする、ポケットチーフ活用術
スーツの装いにおいて、ネクタイやシャツの選びに比べて意外と見落とされがちな存在、それが“チーフ”です。とはいえ、ポケットに差し込むだけで、スタイル全体の印象をワンランク上げてくれるこの小さなアクセントは、ビジネスでもカジュアルでも効果は絶大。
今回は、チーフを使ったことがない方でも簡単に取り入れられる、「TVフォールド」と「パフ」の手順をご紹介します。
TVフォールドとは
「TVフォールド（別名：スクエアフォールド）」は、シンプルでありながら知性と清潔感が漂う折り方。ニュースキャスターがよく用いていたことから、その名がつけられました。
TVフォールドの基本手順
STEP 1：チーフを広げる
まずはチーフを机の上などで平らに広げます。サイズは一般的に30cm〜40cm四方程度。色はホワイトを選ぶのが最もスタンダードです。素材はリネンやコットンがフォーマル感が強く、シルクはやや華やかで光沢が出ます。
STEP 2：半分に折る
上下（左右）どちらかを重ねて、長方形に折りたたみます。端はきちんと揃えて、折り目はしっかり整えましょう。
STEP 3：3分の1を折る
左右どちらか3分の1を重ねるようにして内側へ折りたたみます。
STEP 4：ポケット幅に合わせて、さらに3分の１を折る
ジャケットの胸ポケットに収まるよう、幅を調整しながらさらに3分の１を折りたたみます。一般的な胸ポケットは約7〜9cm幅なので、それに合わせてコンパクトに。
STEP 5：下部分を折る
ポケットに差し込みやすいよう、下部分を適度に折ります。
STEP 6：折りたたんだチーフを、胸ポケットへ
折りたたんだチーフを、端がきれいにまっすぐ見えるようにポケットへ。見えるのは1〜2cm程度が理想です。
TVフォールドの完成！
TVフォールドは、華美な主張がない分、ビジネスの場はもちろん、冠婚葬祭のフォーマルなシーンでも適応する万能なチーフの挿し方です。無地の白チーフであれば、最も礼儀正しい装いとされ、ダークスーツとの相性も抜群。もちろん、素材や色柄を少し遊べば、カジュアルなジャケパンスタイルにもフィットします。小さな所作ひとつで、見た目の印象は大きく変わる——それがスーツスタイルの奥深さ。まずは1枚の白リネンチーフから、試してみてはいかがでしょうか。
パフとは
ふわりと丸みを帯びたフォルムで、どこかリラックスした印象を与えつつ、手抜きには見えない絶妙なバランス。シンプルな手順でありながら、表情の出し方で雰囲気を調整できるのもこの折り方の特徴。カジュアルなパーティーから、クリエイティブなビジネスシーンまで、幅広く活躍します。
パフの基本手順
STEP 1：チーフを広げる
まずは手でチーフを平らに広げます。素材は、やわらかく膨らみが出やすいシルクが理想的ですが、リネンやコットンでもOK。
STEP 2：中央をつまむ
チーフの中央あたりを親指と人差し指でやさしくつまみ、持ち上げます。軽く振るなどして、自然にドレープが落ちるようにするのがポイント。
STEP 3：反対側の裾部分を整える
つまんで持ち上げた状態のまま、もう一方の手でチーフの裾部分を軽く絞るようにして整えます。ひだが自然にまとまるように、無理に押しつぶさないよう注意。
STEP 4：裾部分を上へと折りたたむ
ふくらんだ部分と裾部分が上に向くように、半分くらいを目安に折りたたみます。
STEP 5：チーフを胸ポケットに差し込む
ふくらみを潰さないよう注意しながら、ポケットに優しく差し込みます。
パフドスタイルの完成！
パフは、まるで即興のようなラフさがありながら、じつはかなり計算されたスタイルです。素材や配色、ドレープの出し方によって印象が大きく変化し、フォーマルな場であっても、パターンの少ないシルクチーフなどを使えば、“あえての余裕”が表現できます。白無地であっても、TVフォールドより柔らかく、やさしさをまとった印象に。春夏のジャケパンスタイルやニットタイとの相性も良好。また、ネクタイを締めない“ノータイスタイル”にプラスするだけで、全体にまとまりが生まれます。
参考：パフのアレンジ
STEP5のときにふくらんだ部分ではなく裾部分を差し込み形を整えると、簡易的なスリーピークスにもなりますのでお試しください。
